はじめに
貝合わせを作り始めてから20年以上になる。もう、いつ何かあってもおかしくない年になってしまった。
Web site で、蛤に花鳥や源氏絵などを描いた画像だけは公開していた。しかし、絵にはなんの説明もしていない。源氏絵なんて一つ見れば後はどれも一緒、と思われている方がいらっしゃるのも事実で、絵に簡単な説明を付けて公開できないかと思っていた。
そこで、今まで製作してきた貝合わせをここいらで一度整理したいと思っていたが、資料は散乱してなかなか収拾がつかない。そこで、とりあえず書きやすい物や、資料の揃った物からこのblogにかたっぱしらから書いてゆき、後で整理することにした。内容に間違いや不適切なものがあれば、修正もできるようだ。誰かに見てもらいたいという思いもあるが、まずは自分の記録が目的のため、思いつくまま書いてゆこうと思う。
最初にお断りしたいのは、所々出て来る「貝覆い貝」とは私の造語だということ。「貝合わせ」や「貝覆い」と言う言葉は、遊戯と遊具、両方同じ名前で呼ばれる。この遊びをするには一組360対の絵の描いた蛤が必要になる。遊ぶことが目的なので、絵も美しく描かれてはいるが、(例外もあるが)ほとんどの場合は画一的である。貝殻一対にそんなに手間を掛けられない。しかし、今ではこの遊戯をすることはほぼ無くなった。だったら、蛤一対に、見た事も無いような精緻で美しい絵を、綺麗な絵の具で描いて見たらどうだろう、と思った。そこで、私が、それを目標に描いた貝合わせを「貝覆い貝」と呼ぼうと決めた。「見た事も無いような精緻で美しい絵」は、いまだほど遠いが、目標が無ければ前には進めない。制作は続く。
2024 甲辰 長月吉日
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