源氏物語 第四十五帖 橋姫より 薫、姉妹を垣間見る 其の二
この場面を、隆能源氏を参考に描いた。しかし、古典絵画が絶対ではない。有名な話だが隆能源氏にも本文と食い違う絵が描かれている場面がある。剥落しているのでわかりづらいが、垣間見をする薫が冠直衣姿で描かれてる。しかし、本文ではこの後に老女房とのやりとりがあり、薫の装束が「やつしたまへると見ゆる狩衣姿」と書かれている。後世の加筆と言われているが、何も知らなければこのまま直衣姿で描いてしまうかもしれない。古典絵画でも注意は必要だ。
実は、冠直衣姿で描くことはまぬがれ、いい気になっていた訳ではないが他にやってしまった箇所がある。何を思ったか隆能源氏を無視して簾を御簾にしてしまった。無責任なようだが、自分でもよくわからない。本文もしっかり簾と書いてある。たぶん、宮邸だから「すだれ」は無いかなと勘違いをしてしまったか、全く何も考えず柱の間に下がってるのは御簾だろうと思ったか。他にも私がこの宇治十帖を描いた十点にはとんでもない間違いがたくさん潜んでいる。公開している責任上、単純に知識が無かったでは済まされない。ネットの情報なんて嘘ばっかだよ、の、代表例になりかねない。明らかに間違っている内容の絵を、なんの説明もなくwebにのせるのは、やってはいけないことだと思っている。そこで今の私にわかる間違いは正直に申告、訂正したいと思っている。
ただし、絵を作って行くのに絵面を優先した嘘もある。それは了承願いたい。千年以上前に書かれたフィクションを、まるで見て来た様に本文に忠実にしかも美しく可視化したいという、極めてだいそれた試みを模索中なのだ。
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