源氏物語 第五十二帖 蜻蛉より 薫、女一の宮を垣間見る 其の二

 薫が女一宮を垣間見る場面だ。本文ではこの他に童が何人かいることになっている。器に入れた氷を前にしているのが女一宮。左の扇を持っている女房が小宰相の君。衣装の中に赤と浅葱のグラデーションが入っているが、五衣を表している。しかし、暑い時期なので五衣は無いであろう。じゃ、間に一枚も袿を着ないのかというとそうでも無いらしい。無いと絵として寂しいので入れたと記憶している。実際この時代何をどのように着ていたのかは調べてもはっきりしなかった。
源氏物語 第五十二帖 蜻蛉の貝合わせ
片側の貝に描かれた同じ構図の絵

 だが、少し分かっていることもある。女房(宮中に仕える人)は裳唐衣、童は汗衫が正装である。使用人は仕える人の前では必ず正装で無ければいけない。そして、姫君は女房達の前ではゆったりと小袿姿で過ごす。本文には女房三人と童は「唐衣も汗衫も着ず」とある。これは稀なことで、暑さと女一宮のおおらかな性格を表しているのかもしれない。ただし、裳だけは付けなければいけない。

 えっ! 小宰相の君に裳が無いって、またやらかしたようだ。

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