ちはやぶる

  遅ればせながら、関東でも紅葉の便りが聞かれる様になった。紅葉の名所といえばやはり竜田川が筆頭か。個人的には奥日光の紅葉が好きだが、「竜田川の紅葉は錦の如し」と言われて、色々な形で描かれてきた。

竜田川の貝合わせ


 ちはやぶる 神代かみよも聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは
あまりにも有名な歌なので私のつまらない解説はつけない。

 昔々、奈良に行った時、ここまで来たのなら竜田川を観に行こうと、斑鳩町の竜田公園に寄ったことがあるが、紅葉の季節にはまだ少し早かった。でも、色づき初めた紅葉を見られたことで、ある程度の達成感があった。が、後で知ったが、平安時代に和歌で詠まれた竜田川は竜田公園付近ではなく、そこから6kmほど離れた大和川本流の亀の瀬付近だそうな。さらに、伊勢物語を読むと親王達がワサワサ紅葉狩りに出かけた様に書かれているが、古今和歌集には、屏風に描かれた絵を見てこの歌を詠んだことになっている。なぁんだ、と少し複雑な気持ちは残るが、紅葉の名所には変わりない。

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